変動金利と固定金利はどちらがよいのでしょうか。住宅ローンの金利は低いほど良いのですが…。

住宅ローンには、「変動金利」と「固定金利」という2つの金利タイプがあります。変動金利タイプは、金利が6ヶ月ごとに変更されるものをいい、固定金利タイプは金融情勢にかかわらず金利が一定のもをいいます。金利とは、金融機関からお金を借りる時に設定される利息のことです。借入額である「元金」に対する、いわばレンタル料金。金利が上がれば当然、返済額も増えます。住宅ローンは、20年、30年と長期で借り入れる人がほとんどで、必ず毎月返済していくものですから、金利タイプの選択には十分な検討が必要です。

具体的な住宅ローン商品としては、固定金利タイプでは借入れ期間中ずっと金利が変わらない「全期間固定」のほか、当初期間とのその後の金利があらかじめ決められている、「段階金利」などがあります。変動金利タイプは6ヶ月ごとに金利が見直されますから、借入れ当初の金利は低くても、その後、金利が上がれば返済額は一気にふくらみます。「〇年固定」という名称の住宅ローンは、返済当初が固定金利というだけで、あとは金利が変動していくため、変動金利タイプの一種といえます。一般的には固定期間が長いほど金利が高くなる傾向にあります。

「適用金利」で差がつく変動タイプ

過去のデータを見ると面白いことが分かります。変動金利と全期間固定金利の値を比較すると、1983年以降は変動金利のほうが高い期間が長いのです。それも、36年10ヵ月中23年8ヵ月もです。現在はどうでしょうか。変動金利はメガバンクの店頭金利、全期固定金利は住宅金融支援機構によるフラット35の基準金利で比べると、変動金利は2・475%、フラット35は1・28%と、実は現在も全期間固定のほうが金利が低いのです。しかし、一般的には「変動金利のほうが金利が低い」と思われています。それはなぜでしょうか?

住宅ローンには「店頭金利」や「基準金利」という表現があり、これらは金利のベースを意味します。実際に適用される金利はここから割り引かれるおとがよくあり、これを「適用金利」といいます。民間金融機関の「最優遇金利」(適用金利)を見てみると、変動金利は0・457%、フラット35は1・03%です。金利の低さが逆転するのは、この割引の幅によってです。注意したいのは、当初の金利が低くても、金利優遇のキャンペーン期間が終わるなどして、しばらくするともとの店頭金利に戻る住宅ローン商品が結構あるということです。

変動金利は「最悪の場合」を想定しておく

金利の低い変動金利は、金利上昇のリスクが常につきまといます。半年に1度金利が見直されるということは、35年の返済期間なら69回、金利の上昇があり得るということです。にもかかわらず、一見お得に見えるので、変動金利を利用する人は少なくありません。変動金利で借りるときは最悪の場合を想定した試算をして、無理のない資金計画を立てる必要があります。金融機関のウェブサイトなどで提供している「住宅ローンシュミレーター」を利用すると、金利ごとに総返済額がはじき出されます。

変動金利で借りる場合は、金利の変化を常にチェックすることも条件になります。そして、金利が上昇しそうな兆しをとらえたら、すばやく「条件変更」や「借り換え」をして、金利上昇の影響を最小限にくい止めてください。こうした努力ができる人、また、リスクを受け入れる準備と習慣ができている人でなければ、変動金利の恩恵を亭受するのはなかなか難しいでしょう。

固定金利も「変動する」

当初は変動金利で借り、金利が上がったら固定金利のローンに借り換えようという人がいます。確かにそれは可能ですが、そのときの固定金利は、おそらく予想以上に高くなっていることでしょう。固定金利と契約時の金利に固定されているだけで、金利自体は毎月変動しているものだからです。いま契約すれば2%の固定金利が、5年後に契約するときは3%になっていたとしても不思議ではありません。固定金利2%は、契約者以外もずっと2%という意味ではないのです。

過去40年の金利の変動

変動金利の住宅ローンが登場した1983年から金利が変動した幅を振り返ってみると6.125%以上もあります。もちろん固定金利も変動しています。

■変動金利はここ19年くらい安定している。平均地より約1.27ポイント低い最低水準をキープ

■変動金利は上昇時には固定金利より高くなるリスクがある

■変動金利のほうが変動幅が大きい

変動金利で借りたときの返済額のパターン

借入額3,000万円、借入期間35年、変動金利・当初0.875%で住宅ローンを組んだとします。仮に6年目に金利が4%上昇し、その金利が残りの返済期間までずっと続いたとすると、総返済額は2,000万円以上も高くなります。

「金利が上がったら固定に「乗り換えればいい」の難しさ

変動金利の住宅ローンから固定金利の住宅ローンの借り換えには、かなり高度な判断が求められます。変動金利が上がれば、当然、固定金利も上がっていることをお忘れなく。