誰が債務者になるのか

誰がローンを背負いますか?住宅ローンは、住宅購入に必要な金額をすべて一人で借りる「単独債務」が一般的ですが、2人で借りる「連帯債務」を選択することもできます。どちらにするかは次の3点から検討します。

物件名義の兼ね合い

住宅の購入費は、原則として所有する人が支払うことになります。したがって、住宅ローンを借りる人(債務者)とのちに法務局で登記する名義は一致させるのが原則です。債務者が1人で、支払いをしていない人と共有名義にしていると、税務上贈与を受けているとみなされかねません。逆に単独名義の物件に対し、2人以上の債務者がいるのも問題と指摘される可能性があります。

審査上の判断

収入が低い、借入金がほかにもある、高齢であるなどの理由から、1人では必要な融資額を確保できない場合は、連帯債務者(または連帯保証人)を立てる必要があります。ただし、審査基準は同一ではありません。単独債務にしたければ、ほかの金融機関に相談してみましょう。

③住宅ローン控除

住宅ローンの借り手が支払う税金が還付される制度です。債務を単独ではなく連帯にすると税金が多く戻ってきます。

債務者の尻拭いをする「連帯保証人」

仮に債務者の返済が滞ると、ただちに連帯保証人に請求が回ります。これをつき返すことができない連帯保証制度は非道ともいえるほど利用者側に不利な契約です。とはいえ、最近の住宅ローンは保証会社が保証機能を担うようになったため、連帯保証人を必要とするケースは少なくなりました。ただし、債務者の収入が不安定、物件の所有者が親族である場合などは、金融機関から連帯保証人を要求されることがあります。

誰が住宅ローンを借りるか=誰がその物件を所有しているのか

住宅ローンの借り手が1人なら物件はその人の名義、夫婦や親子で借りるなら物件名義も2です。土地は親、建物は子供、というように名義を分けておきたいときは、必然的にローンの借り手も別になります。

「連帯債務」が求められるのはこんなとき

金融機関によって異なりますが、「連帯保証人」を要求されることの多いパターンは以下のとおりです。連帯保証人は住宅ローンの契約時にも立ち会いを求められます。

連帯債務にはこんな利点がある

審査が有利で資金計画もスムーズに

筆者の経験では、住宅ローンを借りたい人のうち約3割は「単独債務」では借りられません。そこで「連帯債務」を検討することになるのですが、これ以外の人も、連帯債務にすると得られるメリットがあります。

金融機関は、返済が滞りなく行われることを重視しますので、家庭内に収入のある人が2人いれば、1人のときよりも借入れの審査に取りやすくなります。さらに連帯債務の場合、2人の年収を足して審査を受けられるので、借入れできる金額が増えます。「借入れを共有する≒物件を共有名義にする」と、ほかにも利点が増えます。夫婦間であれば、将来、離婚することになっても、購入した住宅の一部に自分の権利が確保されているので、一方が勝手に処分するなどの事態を防げます。

「名義は、住宅ローンを借りた後から共有に変更してもよいのでは?」という人がいますが、単独名義にしてから20年以内に所有権を移動させると(共有名義にすると)、贈与とみなされて贈与税が課税されます。なお、連帯債務の相手の条件は、仕事に就いれ収入がある人です。原則、新居に一緒に住む、またはその予定のある配偶者、祖父母、親、子、孫の中から1名限定です。

住宅ローン控除を2人とも受けられる

連帯債務の最大のメリットは、おそらく住宅ローン控除でしょう。夫婦がそれぞれに住宅ローンの契約を行って単独債務で借りたい場合、または、夫婦が連名で住宅ローンの契約を行って連帯債務で借りた場合は、夫、妻ともに住宅ローン控除を受けることができます。いずれも、2人合計収入が3000万円以下、延床面積50m²以上の住宅、返済期間10年以上などの条件を満たす必要があります。ただし、金融機関によっては連帯債務を認めていないところもありますので事前の確認が必要です。

借りたお金は同額でも、「連帯債務」なら税金が多く戻る

住宅ローン控除の還付額は借入額と納税額で決まります。納税額は所得をベースに計算さえるので、単独債務だと控除の恩恵をフルに受けられないひとの方が多くなります。

連帯債務は相手選びも大切

利点の多い連帯債務も、相手によっては計画の足かせになることがあります。最悪なのは、金融機関の審査を受けて初めて問題が発覚すること。住宅ローンをシェアする相手とは、「お財布具合」と「過去」についてきちんと確認しあいましょう。

こんな相手との連帯債務はやめましょう

■大きな借金がある

■過去に借金の延滞など、個人信用情報に「事故歴」がある

■将来、お金でもめそう

パートナーと一緒に借りるなら

ずっと共働きが続くとは限らない

夫婦で連帯債務にする場合は、一般的には収入が多いほうをメインにします。(個人属性にもよります)このとき気をつけなければならないのは、いまは共働きで2人とも収入があっても、出産・育児などで妻の収入がなくなった場合にどうするかという問題です。育児がひと段落したら職場復帰するつもりでも、実際にそのとおりになるとは限りません。したがって、連帯債務は2人の収入を合算できるといっても、借入額を上限いっぱいに設定するのはやめておいたほうが賢明です。多くとも借入額を夫(妻をメインとする場合は妻)の年収の7倍以内に収めておきましょう。

「持分割合」を誤ると、余計な税金がかかる

夫婦の連帯債務で住宅ローンを借りるのであれば、その前に決めておかなければならないのが「持分割合(持分比率)です。「2人で住む家だから半分ずつに」「妻が100%でも別にいいけれど」という人が時々いますが、持分割合は税務上の観点から決められることが多いため、原則として所有権割合と支払い割合が一致していなければなりません。

具体的には、それぞれの収入の割合から決めたり、夫婦で出し合った頭金の割合から算出します。感情論で決めるなどは論外で、その割合を説明できる根拠がないと、「お金の出所が不確か→贈与が発生しているのでは?」と税務署から指摘を受け、贈与税を請求される場合があります。

なお、こうした税務上の問題が発生するおそれがない限り、金融機関は持分割合についての条件を提示することはありません。借入れ希望者の要望通りに受け付けるだけです。どうすればよいか悩む場合は、最寄りの税務署に尋ねるか、税理士に相談するとよいでしょう。

共働きの返済計画が成功するボーダーライン

もし妻の収入をあてにして、借入額を多めに(夫の年収の7倍以上)に設定するなら、将来起こり得る出産・育児期間中の収入減も見込んでその分の貯蓄を用意しておかなければなりません。

夫と妻、持分割合はどんなバランスで考える?

持分割合は、給与や返済負担のい比率から大きく外れると、贈与税の対象となります。仮に夫の給与が600万円、妻が200万円とした場合の持分比率は下のとおりです。

親と一緒に借りるなら

親との連帯債務=同居が前提

親と子で連帯債務にする場合は、原則として同居が前提になります。ですから当然、新居の計画にも深く関係してくることになります。新築の計画のパターンにはいくつあありますが、もともと親が所有している土地に建てるのであれば、土地代が不要になるため資金計画がより安定するうえ、土地を担保にすることで金融機関の審査も有利に運ぶことでしょう。なお、担保の提供は、単独債務の場合でも義務付けられます。金融機関から、土地の所有権である親を抵当権設定者にするよう要求され、さらには連帯保証人になるよう条件付けをしてくれるところもあります。

親の老後、没後まで考えた資金計画を

同じ連帯債務でも、親と連帯する場合は資金計画や税金の面で配偶者とは異なる点に注意が必要です。親の場合はその年齢から、定年退職後の減収や退職金の金額、また月々の年金額などを踏まえたうえで計画を進めなければなりません。さらに、死亡後の返済計画まで考えおく必要があります。こうした諸々を金融機関に説明できなければ、スムーズな借入れは難しくなります。ちなみに、団体信用生命保険に加入できるのは満70歳未満で満80歳の誕生まで保障されます。

親との連帯債務のメリットとしては、実質上は資金提供でありながら贈与税が課せられない点も挙げられます。これは、相続の面でも有利に働きます。相続税の評価額は、事業用などの不動産よりも自分で住むための居住用不動産、それも金融機関に融資を受けている不動産のほうが、劇的に下がるからです。ただし、兄弟など、自分以外の相続人がほかにもいる場合は、マイホームが相続財産となります。これらも考慮に入れつつ、連帯債務にするかどうか決めていきましょう。

親と一緒に借りる住宅ローンは3タイプ

1つの契約で2人が債務者になる「連帯債務」、別々に契約を結ぶ「ペアローン」、あるいは「リレーローン」という選択肢があります。借入額や申込人の年齢制限など、条件は金融機関によって異なります。